高校生のあなたへ

第三類では、化学や生物の機能を利用してこれまでにない物質や材料を創生し、それらを最適な形で制御・製造することにより、新しいイノベーションや人類を取り巻く諸問題の解決などに貢献できるプロフェッショナルを育成したいと考えています。私たちと一緒に新たな価値の創造にチャレンジしましょう!

第三類は、次のような人の入学を歓迎します。

新しい物質や材料を開発したい

どんな物質も材料も化学の研究対象です。世界にまだないものを生み出すことは容易いことではありませんが、それができたときの喜びは何ものにも代えることはできません。皆さんにもその喜びを味わってもらえたらと思います。

新物質や新材料の例| 航空機や宇宙船の新素材、機能性衣類の新繊維、電子デバイスの新素材、酵素に優る人工触媒

学校の理科の実験が好き

第三類では、1〜4年生まで化学・生物・工学の実験科目を設けています。これらの実験を通して、さらに興味を膨らませてください。実験を楽しみながら、科学者として成長していきましょう。

高校の化学は暗記が多く興味を持てない

高校時代の知識だけからすると、化学は主に暗記で学習するものと感じるかもしれません。でも、大学で学ぶ知識が加わると、化学は論理的に理解できるようになります。単なる暗記ではなく、理解をできるようになれば、化学に対する興味の持ち方も変わってくるはずです。

工学部のどの類にするか迷っている

化学が好きな人!第三類がぴったりです。第三類は、広大工学部で唯一化学を学ぶことができます。また広大工学部で唯一生物を学ぶことができます。化学反応も生体反応も駆使して、未来に活きる高機能新素材や持続可能システムをつくりませんか?

化学系のどの学部にするか迷っている

一般的に工学部が、ものづくりに関する知識や技術を学び、応用的な研究を行っているのに対して、理学部は自然現象を理論的に解明しそれを証明するための基礎的研究を行うことが多いです。どちらの学部も実験をしたりレポートを書いたりすることは同じですが、理論により興味がある人は理学部、知識を活かして何かを作りたい人は工学部が良いでしょう。しかし、応用的研究から新たな理論が見出される場合もありますし、基礎的研究から新しい物質や材料のヒントが得られる場合もあります。皆さんはどちらが好きですか?

化学・生物・物理のどれを専門にするか迷っている

化学を理解し活用するためには物理学の素養やセンスは大きな武器になります。また生命現象を理解するためには化学の専門的知識が不可欠です。さらに革新的な発見や開発など、最先端の科学は、それぞれの分野が混じり合った境界領域に多く見出されています。第三類では、化学を中心として化学×生物×工学の幅広い科学を学ぶことができます。1年半に及ぶ多様な分野の講義や実験を経験した後に、それぞれの専門に分かれていきます。化学、生物、物理のどれも好きな人は、第三類で一緒にゆっくりと専門を決めていきましょう。

環境問題に関心がある

地球温暖化、環境汚染、資源・エネルギー不足など環境問題の解決に化学の知識は不可欠です。第三類は、持続可能な世界の実現に向けて環境問題の解決を最重要事項と考えた教育を行い、様々な研究を行なっています。

環境問題の研究例| 再生可能エネルギーの創生(有機薄膜太陽電池)、地球温暖化の解消(二酸化炭素吸収剤、二酸化炭素を原料とする物質生産)、環境汚染物質の削減(生分解性バイオプラスチック、重金属除去剤)、資源の有効利用(レアメタル回収、有機廃水からの微生物による有用物質生産、海水淡水化)

医薬品に興味がある

バイオ医薬品を知っていますか?バイオテクノロジーによって微生物や細胞で作られる薬です。世界のバイオ医薬品市場は年々拡大しており、2024年の全医薬品市場に占めるバイオ医薬品のシェアは、31%まで上昇すると予測されています。新しい薬を開発するには化学の知識や技術が不可欠です。化学に加えて生物も学ぶことができる第三類は、製薬や創薬について重要な知識や技術を学ぶことができる良い場所と言えるでしょう。実際に第三類の卒業生には製薬会社に就職した人も多くいます。

化粧品に興味がある

化粧品の開発には非常に広い分野の人々が携わっています。材料の開発や分析を化学系が、安全性を医・薬・生物系が、さらに化粧品はイメージが大切なので総合的なデザインを文系が担当しています。しかし、メインとなるのはやはり化学系です。化学×生物×工学の第三類で学んだ知識や技術は化粧品の開発でも大きな力となるでしょう。実際に第三類の卒業生には化粧品会社に就職した人も多くいます。

食品に興味がある

食品科学分野の研究開発や食品の製造のためには、化学・生物分野の専門的な知識は必要不可欠です。酒類や乳酸菌飲料などの発酵食品はまさに微生物を用いたバイオテクノロジーの産物ですし、それを工場規模で製造するために化学工学が活用されています。また物質レベルで食品を分析して機能を理解することや、新しい機能性食品を開発する場合には化学の素養が不可欠です。実際に、毎年多くの卒業生が食品関連分野の企業に就職し活躍しています。特に、生物工学プログラムは戦前の醸造工学科を前身としており、現在も食品・発酵工学に関する教育研究を行っています。

解析や制御に興味がある

人類がこれまで蓄積・獲得してきた化学に関わる原理や経験を実際に使える形にする、つまり物質・材料の開発や製造に役立つテクノロジーとするためには、知識を記録したり理解したりするだけでは不十分で、化学が関与する現象を精密に、ときにはざっくりと解析して、製造される物質・材料の性質・機能や、製造の量・速度、要するコスト、環境へのインパクトなどを具体的に(定量的に)表したり予測したりすることも求められます。このような解析のために、化学だけでなく物理学や数学にも基づいた数理モデルがつくられ、計算・シミュレーションをすることで具体的な結果が得られます。ですので、物理・数学が得意な人も化学が関わる工学の分野ではとても歓迎されます。さらに、化学コンビナートでは、化学反応、加熱・冷却、混合、物質分離、粉砕、成形など多くの操作がさまざまな順序・つながりで行われていますが、ひとつひとつの操作や装置に対するモデルを組み合わせて、コンビナート全体に対する総合的なモデルが作られます。化学製品の製造の最前線はこういった総合モデルにもとづいた制御プログラムで管理されていて、みなさんが想像しているかもしれない、装置の周りで大勢の作業者が働くさまは、もはや遠い昔の光景といえます。

生命に興味がある

原始地球の無機物だけが溶けている海の中で生命は誕生しました。つまり、原始生命は化学反応で生まれたのです。38億年経っても、生命の営みの基盤は化学反応です。生物に加えて化学も学ぶことができる第三類は、分子レベルで生命を学ぶことができる良い場所と言えるでしょう。生命にはまだまだ未知の領域があります。新たな視点をいれて研究することで大発見が期待されます。

コンピューターに興味がある

化学や生物の分野においては、物質や熱の移動・広がりの仕方や、気体や液体の流れ、および物質やエネルギーの製造・変換プロセスを再現・予測する数値シミュレーション、ならびに膨大な情報から新物質およびそれを産み出す化学反応の発見を可能にするAIを使ったビックデータ解析などが、とても重要なトピックとなっています。コンピューターに詳しい、あるいはコンピューターが好きな人が、化学や生物の分野で科学の発展に貢献する道はますます広がっています。